「鋭意作成中」の意味やビジネスでの使い方は?「鋭意」を使ったさまざまな表現を紹介

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「明日のプレゼンの資料はどうなっていますか」「パワーポイントを鋭意作成中です」さて、鋭意作成中とは、いったいどのように作成しているのでしょうか。普段聞き慣れない言葉かもしれませんが、ビジネスでこれを使えるようになれば、信頼感が増します。

目次

「鋭意作成中」の意味

では、「鋭意作成中」の意味を説明します。

「鋭意作成中」とは

「鋭意」(えいい)の意味を辞書で調べると、次の通りです。
 

(多く副詞的に用いて)気持ちを集中して励むこと。専心。「鋭意研究に努める」

(出典:小学館 デジタル大辞泉)

一生懸命励むこと。副詞的に用いることが多い。「鋭意努力する」「警察は鋭意捜査中」

(出典:三省堂 大辞林 第三版)

上記のように、「鋭意」は、「気持ちを一カ所に集めて励む」という意味になります。したがって、「鋭意作成中」となると、「気力をその一点に集中させて作っている」という緊迫感に満ちた状況を表す意味になります。

「鋭意作成中」の使い方

かなり気合いの入った様子を表す「鋭意作成中」ですが、ビジネスなどでの使い方はどのようになるのでしょう。

どのように使うのか

「鋭意作成中」という言葉は、かなりかしこまった、堅いビジネス用語の印象を受けます。使い方は難しいのでしょうか。

この言葉は、自分の意思を鋭くして事に当たっているという意味ですから、一心に自分を律して取り組んでいるという、まるで人間国宝の匠(たくみ)の、人を寄せ付けない気迫を連想させます。

つまり「鋭意作成中」という表現は、「取り組み姿勢に関しては、全く他から文句を言われるような余地は見当たらない」、ということを暗にアピールした使い方をします。

これは「鬼のような気迫でちゃんと取り組んでいます。」と言っているのと同じです。では、結果は出そうなのでしょうか。少なくとも、目処くらいは立ったのでしょうか。

答えは、残念ながらビジネスではよくあることですが、「鬼のように取り組み努力しておりますが、まだまだ先は長そうです。」ということになります。「しっかりやっているつもりなんですが、目処はまだ立っていません。」というのが正直な実態です。

でも、やや苦しい状況であっても、「鋭意作成中です」と言われたら、相手はひとまず引っ込まざるをえない雰囲気になるでしょう。そういう使い方ができるのが、ビジネスでは強力な武器となる「鋭意作成中」です。

「鋭意」に含まれるもう一つの意味

「鋭意作成中」です。というのは、かなり気合いの入った取り組み姿勢の意味を持っていることは、前項で述べましたが、もう一つの意味があります。

それは、「前向きに」「ポジティブに」取り組み、努力し邁進していることを「鋭意」という言葉で表そうとする使い方です。

これは、「うまくいきそうもない」という悲壮感の中で、それでも一心不乱に努力はしている、というのとは異なります。

「鋭意作成中です」には、「きっとうまくいきます」「なんとかして成功させてみせます」という前向きに努力し邁進する心意気があるという意味を含んでいます。

つまり、「やる気」も十分であることを「鋭意作成中」という言い方でアピールする使い方ができるのです。

従いまして、「鋭意作成中です」と真面目に言われたら、きっといい結果を出してくれるために努力邁進しているのだろうと、期待して良いでしょう。

「鋭意作成中」の例文

それでは、「鋭意作成中」のいくつかの使い方を紹介した例文を示します。

「鋭意作成中」例文

ビジネスシーンでは、「鋭意作成中」を使う機会は割と多いです。次の例文を見てください。

【もう少しで発表できます】の例文

前回ヒットした商品に引き続いて、新作をファンの皆さんが期待して待っています。どんな具合ですか。
新作は只今、鋭意作成中です。近日中に発表できるよう努力していますので、楽しみにお待ちください。

【お待たせすることになる】の例文

皆さんが待ち望んでいる、社内の時期システムについてですが、開発はどのような段階でしょうか。
順調に開発を進めて参りましたが、実は先日某大手IT会社から先進的なシステムの提案がありましたので、現在修正案を鋭意作成中です。

【アドバイスが欲しい】の例文 

Aプロジェクトの第3段階のプレゼン資料はどのくらい進んでいますか。
現在、鋭意作成中なのですが、実は第3段階の第2フェーズのところで行き詰まっております。打開策を見つけるべく努力しているのですが、BとCを融合する部分で何かいい案がありましたら、アドバイスをいただけませんでしょうか。

【今は余裕がありません】の例文 

ライバル会社が新商品を投入してきました。当社も、対抗商品を投入しないといけないのではないですか。
現在当社は、現状の2歩も3歩も先を行く新商品開発を鋭意作成中です。当面苦戦を強いられるかも知れませんが、十分挽回できますので、いましばらくお待ちください。

「鋭意作成中」をビジネスで使うコツ

「○○の件についてはどのような進捗状況ですか。」と質問されたときに、実際のところは手が回らなかったり、やってはいるのにまだ報告できるほどの成果が上がっていない場合には、どのように回答すればいいのか困ります。

「ずっと気にかけてはいるのですが、なかなか手が回らないので、まだ着手できていません。」とか、「着手はしたのですが、なかなか前に進みません。中間報告の目処も今現在立っていません。」というのが現状とします。

こういう時に、「いちおう、やってはいるのですが。」とか、「なかなか難しくてうまくいきません。」という回答をすると、正直ではありますが、相手を不安にするでしょう。

もとより、誰よりも当該担当者は悩みながら、それこそ一生懸命に取り組んでいるのです。中間報告をする時間も惜しいくらいに。

そういうシチュエーションで、「○○の件については、先日来、鋭意作成中です。」と回答すると、「ああ、ちゃんと忘れずに目標に邁進してくれているのだな」と安心してもらえます。

そして、「鋭意」という、人を寄せ付けない秘めた気迫が、「あまりあれこれ質問して、時間をとらせてはいけない。」と思わせるのです。

そういう意味では、しつこい追求をはねのける、便利な言葉ともいえます。

「鋭意作成中」使用上の注意

すでに述べたように、「鋭意作成中」は一時的に追求を逃れることができる、とても威力のある言葉です。

しかしながら、進捗を心配する目上の人などから二度、三度と質問があったときに、通り一遍の「鋭意作成中です」と応えていたら追求を逃れられる、というものではありません。

当初は「鋭意作成中」と言えば、それ以上は「邪魔をしてはいけないので、黙っていよう」と思ってくれたとしても、進捗状況がブラックボックス化していては、さすがに心配になります。進捗管理は上司の責任問題にもなります。

従いまして、一度督促されたら、二度目以降は、もう少し詳しく、「○○の半分くらいのところまで来ています」とか、「進捗率は60~70%くらいまで来ています」など、ある程度具体的な進捗度合いを説明する必要があります。

その上で、「残りの部分については、鋭意作成中です」と言えば安心してもらえるでしょう。少なくとも、目標に向かって邁進しているのだという信頼感はお互いに維持できるようにしましょう。

「鋭意~」の様々な表現方法

他にも「鋭意」を使った表現をいくつか示します。

鋭意検討中

「その案件については、鋭意検討中です」

検討中というと、一般的には「まだ本格的に着手はしていない」と受け取られます。場合によっては、きちんと考えてくれていないのだろうか、と苦情にもなりかねません。

ところが、「鋭意」がつくと、真剣に何か工夫をしてうまい方法を考えて、目標に向かって邁進しているというニュアンスが出てきます。

鋭意営業中

真剣に営業しているという雰囲気を伝えようとしています。

「年度末は休まず鋭意営業中です。」というと、かなり力が入っているイメージです。チャレンジングな営業目標達成に向かって邁進している姿勢が窺えます。

鋭意準備中

まだ本格スタートをしていないのに、意気込みは知ってもらいたいと言うときに使えます。

ただ「準備中です」というと、気が抜けたイメージがありますが、「鋭意準備中」だと、準備が整ったときの爆発的なパフォーマンスに期待ができそうです。

ただ「準備」しているのではなく、高いレベルに向かって水面下で邁進しているということを表現して「鋭意準備中」と言ってみましょう。

鋭意勉強中

ビジネスの新しい分野など、これから取り組んでいかなくてはならないテーマについて、「鋭意勉強中です」と言うと、真剣に取り組んでいる様子が窺えます。

次に会ったときにはセミプロ並の知識を吸収してきているのではないかと、期待してもらえそうです。

もちろん、期待を裏切らないように勉強しましょう。

鋭意作成中は切り札です

目上の人から進捗状況を質問された時に、自信を持って「鋭意作成中です」と応えられるようにしたいものです。

もとより、「鋭意作成中」は言い逃れや、はったりの用語ではありません。

「他から見ていると、そんなに集中してやっているようには見えないかも知れませんが、自分は一心不乱にやっているのです。結果を期待して(黙って)待っていてください。」という感情面をうまく言い表してくれる言葉です。

自分でも自信があり、しかしながらやや時間的にビハインドな状況のとき、「鋭意作成中です」と言い切って、活路を切り開いてみましょう。ここぞというときの切り札になるのが「鋭意作成中」です。

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