「お知りおきください」の正しい使い方とは?「お知りおきください」の意味とは?この記事では、「お知りおきください」の言い換え、上司や目上の方に対して使用していいのか、類語・例文も含めて説明しています。「お知りおきください」について迷ったら、読んでみてください。
「お知りおきください」の意味とは?
ビジネスシーンにおいて、知っていてもらいたいこと等を伝えるときに「お知りおきください」という表現を使う方は少なくないことでしょう。耳にすることもあるフレーズですが、それが正しい日本語であり、上司や目上の方、お客様にもメールなどで使用していいのでしょうか?
敬語表現は難しく、実は勘違いして使用していた言葉や敬語、なんてことも現代日本では少なくありません。
似たような意味の言葉もありますので、今回は「お知りおきください」の意味、正しい使い方や言い換え、簡単な例文等についても詳しくまとめてまいります。
「お知りおきください」の意味
「お知りおきください」という言葉は、「知っておいてください」「承知しておいてください」といった意味で使う敬語表現です。辞書で引くと元になっている言葉である「知り置く」の意味も、「知っておく・承知しておく」なので正しい日本語であることがわかります。
元になっている「知り置く」は漢字での表記となっていますが、多くは「お知りおきください」とひらがなで表記するようです。漢字で表記しても正しい表現なので問題ないですが、読みにくかったり誤用してしまうなんてこともありますので注意しましょう。
「お知りおきください」の使い方には複数ありますが、事前に知っておいてほしいことやこれからも知っておいてほしいことがある場合によく使われます。知っておいてねの丁寧な言い方だと考えてもらえれば問題ないでしょう。勿論、メール等でも用いられます。
言い換え表現も多くありますので、意味を区別して正しく使用しましょう。
「お知りおきください」の使い方
ビジネスにおいて、「お知りおきください」はよく不特定多数へ向けての情報発信で使われることが多いのですが、これは発信者として広くその情報を伝達しておくことにより伝達漏れの防止といった意味合いで使われることがあります。
そのために、ビジネスですと、毎日多くのメールに目を通す人が大半なため、そこまで重要度は高くないだろうとそのメールを読み飛ばされてしまう可能性もありますので、適切にその情報が伝わっていない、なんてことも考えられます。
「お知りおきください」を使用する場合、どうしても多くの人に対して同報で伝えなけばいけないときのみの使用が良いようです。伝達する相手によっては別の適切な表現に言い換えることも必要となります。
また、なにかしらの情報を参考程度に申し添えるときに「お知りおきください」が使用されますが、その他の意味合いで使われることも多いため、読み手は注意が必要です。
例えば、とある事柄について注意を促す意味で「お知りおきください」と使用される時もあれば、それを知らせることで何かしらの反応が予想される場合の牽制といった意味合いで「お知りおきください」が使われることもあります。
「お知りおきください」はあくまで追加の参考情報として、という意味合いを持つ表現の特性上、重要な情報をオブラートに包むように読み手に受け入れやすくするような目的で使われることが多いです。どちらにせよ、ビジネスでも正しい場面で使用することが重要になってきます。
「お知りおきください」を使用する場面は?
ビジネスで様々な使い方がある「お知りおきください」ですが、大きな特徴として不特定多数に向けて情報を発信される際に使われることが多い敬語表現です。メールや文書等媒体を問わず、誰に対して発信すべきか明確でない、または誰に対しても関係してくる可能性が高い場合などに使用されます。
また、「お知りおきください」は身内(社内)の人に使用するのではなく、多くの場合、社外の方に使用されることが多いものですので、社内の上司や目上の方には別の言葉を使用して言い換えましょう。例文とともに後ほどご説明いたします。
「お知りおきください」の正しい使い方
不特定多数へ向けての情報発信で使われることが多いのですが、これは発信者として広く情報を伝達しておくことにより伝達漏れの防止といった意味合いで使われることがあります。
そのために、ビジネスで頻繁に「お知りおきください」で伝達内容をメールでお伝えしてしまうと、「自分にはあまり関係ないかもしれない」等と思われて読み飛ばされてしまう可能性もあるため、適切にその情報が伝わっていない、なんてことも考えられます。
「お知りおきください」を使用する場合、どうしても複数の対象に同報で伝達しなければならないときのみが良いようです。
例えば、自分の部署の人間が会議などで全員不在になってしまうので一時的に電話が取れなくなるとか、会社のエレベーターがメンテナンスの為に停止する事、近隣の住民の方に、音楽イベントのために大きな音がしてしまう事を知っててもらいたい時など。
例文として、メンテナンス告知、イベント等の開催関連のものを記載しましたので、参考にしてみてください。
「お知りおきください」は敬語として正しい?
「お知りおきください」は「知ってもらう」「知っててね」の丁寧語です。類似表現も多いですが、比較的誰にでも使いやすい言葉ですので、どのような時に使用できるのか簡単にご説明します。
ビジネスで使っていい?
結論から言うと、「お知りおきください」は正しい敬語表現です。
ビジネスとは異なり、日常生活ではなかなか「お知りおきください」を使う機会はないため、あまり耳馴染みのない言葉ですが、「お知りおきください」は敬語として正しいものです。動詞として「知り置く」という言葉があるため、それに「お」と「ください」を加えて、尊敬表現の「お知りおきください」という言葉になります。
ビジネスの場で多用される「ご承知おきください」も同様です。こちらは「お知りおきください」の言い換えた表現です。どちらも間違った敬語表現ではありませんので、自信を持って使用して問題ないでしょう。「ご承知おきください」に関しましては簡単ではありますが、後ほど例文とともに説明いたしますので、そちらをご覧ください。
ビジネスで使用する際は先ほども述べましたが、どうしても多くの人に伝達しなければならない場合にのみ、使用する方がいいです。重要な要件の場合には、「お知りおきください」を言い換え、類語である「ご承知おきください」等を使用して伝達しましょう。
「お知りおきください」の例文
此処では、「お知りおきください」の例文と簡単な使用場面の説明をさせていただきます。
これらを使用する時は上司・目上の方・お客様等立場を問わずに使用するため、きちんとした文章であるか・誤字脱字はないかを必ず確認してから送信・送付するようにしましょう。
①状況の周知のための「お知りおきください」
メールを送る際の状況は場合によって異なりますので千差万別ですが、その概要をメールや張り紙などに記載して、広く周知するときの締めの一文で「お知りおきください」と書かれることが多いです。
例えば、IT関連のお仕事をしており、メンテンナンス等で一時的にサーバーを止めなければならない時に社内の関係する方々に対して。
◯日18時より20時まで、定期メンテナンスのため全サーバーが停止いたします。その間は如何なる操作も行えませんことをお知りおきください。 |
②イベント等の告知のための「お知りおきください」
イベントや会議等の告知の際に使われることもあります。特にイベントの告知は、多くの人の目に留まる事が重要なため、その件に関わりが薄いと思われる方に対しても、ある程度の情報の拡散が許されます。そのため、社内外に関わらず連絡先を把握している人に対して、イベントの概要や日時、必要なポイント等をまとめた文章をメールやハガキなどで連絡するときに使用されます。
〇月〇日△時より、■■にて×××イベントを開催いたします。なお、来場希望者については本ハガキをもって入場許可証とすることをお知りおきください。 |
③イベント等実施後の報告のための「お知りおきください」
とあるイベントが実施された後、来場者数や実績などが関係者に報告される際に、「お知りおきください」を使用した形で情報がリリースされることがあります。イベントという特性上、この報告も関係者が非常に多く、実績に関する報告を必要とするかの判断が非常に難しいこともあり、取り敢えず多くの人に向けて情報を発信するという手段がとられることが多いです。
興味のある人にのみ届けばいい情報であり、またその報告に対して何かしらの反応は不要ですということを示すために、締めの一文で「お知りおきください」が使われます。
〇月〇日に実施されました××イベントは、xx人もの多数の参加者が訪れ、盛況の中、終了致しました。尚、今回得られました反省点につきましては、今後のイベント等に反映させてまいりますことをお知りおきください。 |
「お知りおきください」の類語や言い換え
それではこの章では「お知りおきください」の類語や言い換え表現について解説いたします。
「お知りおきください」の類語
「お知りおきください」には以下の類語があります。
ご承知おきください |
お含みおきください |
ご留意ください |
ビジネスにおいて、「ご承知おきください」「お含みおきください」はよく耳にする人も多いのではないでしょうか。そのため、後ほど詳しく「お知りおきください」との違いについて述べたいと思いますので、ここでは3つ目の「ご留意ください」に関して詳しく説明させていただきます。
「ご留意ください」は「お知りおきください」より少し強めの表現となっています。簡潔に一言で言うと、「覚えておいてください」という意味です。
「留意」の意味は「心に留めること、気をつけること、頭の片隅に置いておく」という意味がありますから、「ご留意ください」や「留意」といった文言が入った文書やメールの内容を忘れることは許されません。
書類等の文書で「留意事項」と書き添えられているのを見かけたことがあることでしょう。留意は注意に準ずる程度に重要なことだと考えましょう。そのため、「ご留意ください」は「お知りおきください」と違い、知っているだけでは不十分であり、「知って尚且つ、行動に反映させる」といったことが必要になるので、「お知りおきください」とは異なります。
「ご留意ください」「留意」が含まれた連絡は大変重要度が高いです。なので、従業員が少ない会社や部署ではメールに開封確認機能を利用し、一読されたかどうかを発信者が確認できるようにするといった工夫がされていることも多いです。
また、注意という意味の「留意」以外にも、上司や特に目上の方の健康を気遣う意味でも使われることが多いです。この場合の「留意」は、相手の気を付けてほしいこと、気に留めてほしいことがあるという意味で使用されています。
「ご留意ください」の例文は?
簡単ではありますが、「お知りおきください」をどのような時に「ご留意ください」へ言い換えるのか。いくつかの例文と使用場面について説明させていただきます。
①注意喚起で「ご留意ください」
「お知りおきください」を注意喚起で使用することがあります。業務連絡のなかでも比較的重要度の高い連絡です。その場合に、ご留意ください」を使用します。
このような連絡を行う場合、タイトルに【注意喚起】のような強調するような一言が添えられ、受信者に一読することを強く求めます。
例文として、ウィルスの添付されたメール受信が頻発している際の注意喚起などで、
ここの所、業者を装ったメールアドレスから、ウィルス添付メールを受信するというケースが頻発しています。各位においては不審なメールを受信した場合に不用意に添付ファイルを開かないようにご留意ください。 |
「ご留意ください」は「お知りおきください」より強い表現ですから、「知って、気を付けてほしい」と思うときに使用するのがいいでしょう。
②上司や目上の方への気遣いで「ご留意ください」
手紙やメールなどをビジネスでは送る場面は多いと思います。そのような中で、上司や目上の方への挨拶で最後を締めくくるものも多いと思います。その挨拶の時に、「ご留意ください」が使われます。例文は以下の通りです。
お体には十分ご留意くださいますようお祈り申し上げます。 |
注意したいのが、上司や目上の方に対して使用する場合です。ただ「留意してください」よりも先頭に「ご」を付けて「ご留意ください」、「ご留意願います」や「ご留意いただきますようお願い申し上げます」など、命令口調にならないよう、上司や目上の方に対して丁寧な表現に言い換えるなどの工夫をするといいでしょう。
「お知りおきください」と「ご承知おきください」の違い
「お知りおきください」の言い換えの際に、よく耳にするのは「ご承知おきください」ではないでしょうか。一体何が違うのかというと、意味自体に対して差はありません。ほぼ同じ意味になります。
「知る」を「承知する」と丁寧に言い換えたものなので、「お知りおきください」よりもいっそう丁寧な印象を与えることができます。また、「承知」には許すという意味もありますので、ある事柄について迷惑をお掛けすることをお許しください、その為の準備を前もってしておいてください、といったある意味命令形の意味合いが含まれています。
例文としては、役員の変更に伴い、関連する方々に迷惑をおかけすることになるかもしれませんと言った意味合いで使用されます。
本年より○○会の担当役員が変更になりますので、どうぞご承知おきください。 |
ただ、「お知りおきください」が言い換えせずに上司や目上の方も含めて使用できるのに対し、「ご承知おきください」は上司・目上の方には使用できません。上司や目上の方に対して突然、「ご承知おきください」とお伝えするのは、命令形の意味合いが含まれてしまっていますので、失礼に当たります。
「お知りおきください」と「お含みおきください」の違い
「お含みください」も「お知りおきください」とほぼ意味が近いです。「ご承知おきください」と違い、許すというニュアンスは含まれない為、より「お知りおきください」に近い言い換え表現となります。
一般的に、何かの言葉に言外の意味を匂わすことを「含みを持たせる」と言いますが、ここでの「含み」はやや異なった意味を持っていますので注意してください。
ビジネスで使用する「お含みおきください」は、誰かの考えの中に伝達した情報も含めておいてくださいねという意味になります。この表現でメール等を受け取った側は、何かそれに関連したことを考えるときに、「そういえばあのような情報もあったな」と思い出す程度で問題ないでしょう。
また、先ほど述べた「ご承知おきください」よりもこちらの「お含みおきください」の方が命令形ではなく、お願いをしている表現、相手を尊敬する表現になりますので、上司や目上の方に対して使用する際には「ご承知おきください」よりも「お含みおきください」の方が適切です。
「お含みください」に関しましては、以下のリンク先で詳細な説明を行っていますので、ご興味ある方は覗いてみてください。
「お知りおきください」を誤って使う人は意外と多い
「お知りおきください」は正しい敬語なのか、と様々な掲示板でも上がる程度に耳馴染みのない言葉です。その為に、「お見知りおきください」が正しい言葉だからそれは正しくないと勘違いされている方も多いのではないでしょうか。
「お見知りおきください」は後々まで長い期間、ある人や物事のことを覚えておく、記憶にとどめるという意味を持っています。そのため、自分が相手のことを見知りおいてほしいことについて、相手を敬って使用する言い方です。この言葉は、相手と初対面の場合に使われます。
尊敬表現として、自分より目上の人や、取引先や商売の顧客といった尊重すべき相手に対して使用します。名刺交換などの際に言う方も多いと思います。
この「お見知りおきください」と「お知りおきください」を混同して勘違いしている方は実際に多く、どちらも正しい敬語で、上司・目上の方も含めて使用できる表現です。ただ、意味はかなり異なりますので、正しい意味で使えるようになればビジネスにおいて、上司の方にも目上の方にも印象をよく持っていただけるのではないでしょうか。
「お知りおきください」と似た誤った敬語
「お知りおきください」と似たような敬語で、「ご覧おきください」という言葉を聞いたことがある人がいるのではないでしょうか?
何か書類や資料等を見てもらいたい時に使う「ご覧ください」は正しい敬語なので、間違いではないのですが、「ご覧おきください」は誤った日本語となってしまいます。「ご覧ください」を言い換える場合は、正しい表現を使うようにしましょう。
「お知りおきください」と「お見知りおきください」の違い
「お知りおきください」は上記の方で例文でも紹介しましたが、
◯日18時より20時まで、定期メンテナンスのため全サーバーが停止いたします。その間は如何なる操作も行えませんことをお知りおきください。 |
など、発信者対不特定多数です。
「お見知りおきください」は名刺交換などの際に、
「××社営業の◯◯と申します。以後、お見知りおきください」 |
など、1対1(又は複数)で相手の顔が確認できます。
英語ではどう表現するの?
「お知りおきください。」を単純に英語で表現しますと、例文としては以下のものがあります。
・Please be advised that ~.
…直訳すると「どうぞ~だとアドバイスされてください」といった意味になるのですが、ビジネスにおいては、「(that以下)~という情報をどうぞ受け取ってください」という意味になるため、「~であることをお知りおきください」となります。
・Pleaes be informed.
…こちらは「お知らせします」となります。
・Keep in your mind ~.
…こちらは「貴方の心に留めておく」と言った意味になるため、「覚えておく」となるようです。「お知りおきください」よりはどちらかというと「ご留意ください」に近い意味合いになります。
いずれにしても、情報を知っていてくださいねという表現になります。
今回を機に使い分けましょう
今回、「お知りおきください」に関しまして、例文や意味合いを説明しましたが、似たような意味の言葉があることがわかりました。それぞれ持っている特性が違いますので、それらを踏まえて適切に正しい言い換えをすることで、ビジネスの現場で上司や目上の方からもイメージアップするでしょう。
例文でご紹介したように、日常生活でも会社でも意外と実はあったりするので、明日から探してみて「ああ、このように使っているんだな」と知るのもまた面白いかもしれません。言い換えの言葉も含めて、大変汎用性の高い言葉なので、ぜひ使用してみてください。


