人事考課において自己評価はどのような目的で、何を見るために必要なのでしょうか。それを理解し、自分の仕事を客観的に見ていくことで、高評価につながる自己評価を作成することができるようになります。ポイントを押さえて人事考課に役立つ自己評価を書いてみましょう。
人事考課の自己評価とは?
組織において定期的に行われる人事考課ですが、上司の評価とともに重要視されるのが自己評価です。自分で自分を評価するといっても、どう書けばアピールになるのかわからず、やってきたことをただ書き連ねていく人も多いものです。
人事考課の目的と、有効な自己評価の書き方について考えてみましょう。
人事考課を行う目的
組織の中には多くの従業員が所属し、それぞれの分野で業務を行っています。人事では、ひとりひとりの仕事内容を常に把握することはできません。
このため、定期的に人事考課を行い、昇進や昇給、賞与額決定のための判断材料とします。評価の仕方は企業により異なりますが、会社に自分自身をアピールし評価してもらう数少ないチャンスになります。
自分の成長を冷静に確認することができる
毎日なんとなく業務を行っているだけでは、自分の成長に気付かずステップアップの機会を失ってしまう可能性もあります。
定期的に自己評価を書くことが、これまで自分がやってきたこと、以前と比べて成長したことなど、具体的な事例や数字に基づいてあらためて冷静に確認するきっかけとなります。
自分を評価してくれる人にアピールする為
人事考課の材料はもちろん自己評価だけではありません。組織であれば、直属の上司以外にも自分を評価する対象者が何人もいる場合もあり、普段接点のない上司から評価されることも少なくありません。このような場合は自己評価がとても重要なアピール材料となります。
また直属の上司であっても常に行動を共にするしているわけではなく、何もかも把握しているわけではありません。自分の頑張りを認めてもらうには絶好の機会なのです。
人事考課の自己評価を書く際のポイント8つ
自己評価は、自分の仕事の成果を冷静に確認し、上司や人事に認めてもらうための重要なツールであることはわかっても、ではどうやって書けば高評価に繋がるのかと考えると悩んでしまいます。自己評価を書く際に押さえておくべきポイントはどのようなものなのでしょうか。
人事考課の自己評価を書く際のポイント1:客観的な視点で自分を評価
自己評価を書く際に、まずは自分自身を客観的に振り返ることが大切です。自分のことはどうしても主観的な視点となり、難しいことをどう乗り越えたかという事実をアピールしたくなるものです。
しかし、仕事で評価されるときの判断材料はどれだけ頑張ったかということではなく、どのような成果を残し、客観的に見てどれくらい成長したかという事実です。あえて冷静に、他者の視点に立って自分のしてきたことを振り返ってみましょう。
人事考課の自己評価を書く際のポイント2:前年の自分との比較
客観的な視点といっても、着眼点はどこに持って行けばよいのでしょうか。人事考課の自己評価は自分だけのメモや記録ではないので、他者が見ることを前提として書くことになります。
前年の自分と比べ何ができるようになったのかということは、とてもわかりやすい評価のポイントになります。
また、自分にできなかったことを把握して、それを改善する努力をし、実際に成果を出したということはとても大きな加点対象にもなるでしょう。
人事考課の自己評価を書く際のポイント3:業務内容に対して貢献できているか
「自分は成長した」と思ってもそれが業務内容に直接関係しているのか、そのことにより会社に貢献したことになるのかということも考える必要があります。例えば新しい資格を取得したこと自体は、評価されることではありません。
資格を得たことで業務上で何ができるようになったのかということがアピールポイントになるのです。
また、経験によって考え方が変わったといったような前向きな姿勢も、ひとつの評価ポイントになり得ます。
人事考課の自己評価を書く際のポイント4:仕事に対する将来の目標が定まっているか
自分は将来的にどうなりたいのか、どのような仕事をしていきたいのかといった目標をしっかり持っていることは、自己評価において重要です。目標があるからこそ、それに対しての現状どうなっているのか、結果がどうだったかを客観的に分析することができます。
人事考課の自己評価を書く際のポイント5:前年の問題点を改善できたか
短期間の仕事の場合、自己評価を書くことはあまりないでしょう。人事考課の目的は、現時点のその人の能力を評価することだけではなく、どのような成長を続けているか、今後どうなりそうか、といった基準もあることを忘れてはいけません。
毎年同じようなことを書いていたのでは、進歩があるように見えません。前年の自己評価で何か課題や目標を書いた場合は、どんな収穫や成果があったかということに必ず触れておきましょう。
人事考課の自己評価を書く際のポイント6:プロセスから結果を説明するように書く
企業により方法や視点は違いますが、わかりやすいものとして「成果基準」があります。目標に対して、結果とプロセス両側から見て判断するもので、誰が見てもわかりやすく説得力があります。
自己評価をする場合は達成未達成に関わらず、目標に対してどのようなアプローチをし、どんなプロセスをたどったか、ということを説明することが大切です。
その上で、結果に対する反省と次への目標を明確にしておきましょう。
人事考課の自己評価を書く際のポイント7:マイナスイメージにつながる内容や表現は避ける
目標達成ができなかった場合、なにがいけなかったのかを顧みて反省することも大切です。しかしこれだけではマイナス思考に見えてしまい、良い評価は期待できなくなります。
前向きでポジティブな思考であるということそのものが評価対象になります。マイナスイメージにつながる表現は使わないように気をつけ、少し大げさなくらい自己アピールするくらいがちょうど良いのです。
人事考課の自己評価を書く際のポイント8:分かりやすく簡潔にまとめる
人事考課の参考資料として、人に見てもらうことを前提にして作成するのが自己評価です。伝えたいことアピールしたいことが複数ある場合でも、それぞれ分りやすく整理して簡潔にまとめることは常に頭に置いて作成しましょう。
あまり長文になってしまったり項目が多すぎると、仕事ができる印象を与えられず、せっかくのアピールも逆効果になる可能性もあります。客観的に、見てくれる人の視点に立って作成することが大切です。
自己評価が難しいと感じたら
いろいろ考えても効果的な自己評価が書けない、業務に大きく貢献したようなことが見当たらない。そんな風に感じた時は、まずは冷静に自分自身の仕事内容の棚卸をしてみましょう。
目標を設定し、そこに到達するために何ができるか考えてみる、そのような姿勢を持っているということも十分にアピールになる可能性があります。
完璧にすることは不可能と考える
自己評価をしなければと考えていくと、目標としていたあれは実現できなかった、という事実に気付くこともあるでしょう。しかしそれに気付けたことも、自己評価をしたことによるメリットだと考えましょう。
目標をすべて完璧にクリアできる人はいません。それでも、いろいろな経験をしていく中で時には新しい気付きがあり、少しずつでも成長しているのです。
前年との自分の成長を確認する
実現したい目標を高く持ちすぎて、達成できなかった、ということを繰り返すよりも、前年の自分と今の自分との比較で考えてみましょう。
1年間何をしてきたか、それによってどう成長したのか思い当たることは必ずあるはずです。どんな仕事でも、小さなプラスの積み重ねが成長のもとになっています。
日頃から客観的に自己評価をし人事考課に役立てよう!
人事考課の自己評価で毎年悩まないようにするためには、自分の仕事を日頃から客観的に認識する癖をつけておくことが効果的です。すぐに忘れてしまうという場合は、自己評価の草案のようなものを作っておいて、箇条書きにでもメモしておきましょう。
どのような目標や考えを持って仕事をしているかという基本的なことから、その結果何をしてきたのかという実績までをアピールできれば、人事考課に大きく役立つのです。


